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15- D- 0185 201 5 年 6 月 9 日
総合化学各社の 15/ 3 期決算の
注目点
総合化学各社(旭化成、昭和電工(12 月決算)、住友化学、東ソー、三井化学、三菱ケミカルホールディ ングス(三菱ケミカル)、宇部興産の7 社)の15/ 3 期決算および16/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本 格付研究所(J C R) の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。
1. 業界動向
14 年度の業界環境は前年度の回復の動きを引き継ぎ、概ね良好に推移した。中国の景気減速傾向の強ま りや年度後半の原料価格下落などがマイナス要因となったが、一段の円高修正が進展し円安基調となってき たことや、好調な米国景気がプラス要因となった。また、当初懸念された国内の消費税増税による影響も限 定的なものに留まった。
石油化学系事業に関し、14 年度の国内のエチレン生産量は 669 万 t となった。前年度に比べ小幅減少とな ったが、これは各社の定修が集中したことが主要因であり、石油化学製品の内需は比較的堅調に推移した。 エチレンセンターの月次稼働率も 13 年 12 月以降、損益分岐点の目安とされる 90%台が維持されている。エ チレンセンターの再編については、14 年5 月に三菱化学の鹿島1 号機が停止され、15 年3 月には三井化学 が京葉エチレンから離脱。15 年度に入り、住友化学の千葉工場エチレンプラント停止(15年 5 月)が実施 された。川下誘導品の縮小も計画どおりに進捗しており、当面予想される内需縮小に対応する形で業界構造 は安定化してきた。一方、合繊原料などの基礎化学品やウレタン原料は、中国の過剰能力などを背景にアジ アの需給インバランスが続いており、事業環境はまだ厳しい。ただ、市況やスプレッドの持ち直しの他、事 業の地産地消化やユーティリティコストの削減などで、テレフタル酸を除き、13 年度に比べ状況は好転した。
非石化系事業も 14 年度は堅調な事業環境となり、収益はリーマンショック前の好調期を上回るものとな った。特に好調であったのは自動車向け成形部材用樹脂や、液晶パネル・タッチパネル向けの関連部材・部 品、農薬、高機能化学製品など。堅調な需要に円高修正効果も加わり、各社が成長戦略として事業基盤強化 に取り組んできた製品の収益が向上した。もっとも、全てが順調という訳ではなく、事業によっては取り組 みの見直しや資産の減損処理などが行われた。一方、医薬品を中心とするヘルスケア関連も、15/ 3 期は全体 としては概ね良好な収益が確保された。ただ、国内の医療費抑制方針を背景に、14 年度の薬価改定および診 療報酬改定では後発品の使用拡大を促す施策がとられ、一部の企業では医薬品事業で大幅な減益となった。
2. 決算動向
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億円)を上回り、過去最高を更新する予想となっている(図表2)。グローバルな景気動向に大きな変調が無 ければ、業界全体として好業績が続く可能性が高い。
財務面に関し、7 社合計の有利子負債は 4 兆円強の水準が続いている。ただ、個社別で 14/ 3 期末から 15/ 3 期末にかけ有利子負債が大きく増加したのは、大陽日酸に対する T OB を実施した三菱ケミカルのみで、 同社以外については横這い、若しくは減少方向となっている。一方、業績復調による利益蓄積や円高修正に 伴 う為 替換 算調 整勘 定の 改善 、保 有有 価証 券の 時価 評価 増加 など で、 自己 資本 は増 加基 調と なっ てい る。 15/ 3 期末(昭和電工は 14/ 12 期末)の 7 社合計自己資本は 4. 1 兆円で、直近でボトムとなった 09/ 3 期末 2.7 兆円に比べ、6 期で 1. 4 兆円増加した。 この結果、15/ 3 期末 DE R(7 社合計有利子負債/ 7 社合計自己資 本)は 1.0 倍となり、5 期連続で改善が進展。手元流動性を考慮した 15/ 3 期末ネット DE R では 0. 8 倍となり、 過去 20 年で最低水準にまで低下した(図表 3)。
3. 決算に
お
け
る
格付上の
注目点
業界業績は 13/ 3期をボトムに復調しているが、これは構造改革や成長戦略の取り組みに加え、12年末以 降の円高修正が大きく寄与している。14/ 3 期に比べ効果は縮小したものの、15/ 3 期も少なからず各社の収 益に寄与した。現時点の想定では 16/ 3 期も円安傾向が続くとの見方が一般的で、引き続き、業績のサポー ト要因となる見込み。もっとも、米国の景気動向や金融情勢によっては、このような基調に変化が生じる可 能性も否定できない。また、グローバルな景気動向は、石化製品や情報電子関連製品などの需要に密接に関 係する。従前に比べ業界全体の不況抵抗力は向上してきたものの、現状でも景気動向による収益面への影響 は大きい。このため、為替や原材料を含めたマクロ経済の動きは、業績の前提条件として重要なポイントと なる。
ここ数年、最大の焦点となっている構造改革と成長戦略については、引き続き、注目していく必要がある。 不採算事業の立て直しなどを中心とする構造改革に関しては、一部ではその余地を残すものもあるが、業界 全体として特別損失などの財務的な負担は峠を越えてきた。現在は種々の施策が実行段階に入っており、具 体的な効果を確認する局面に入ってきている。ただ、構造改革効果は予定どおり発現してきているものの、 設備トラブルや内外の定修集中など、一時的な特殊要因でこれが打ち消されているケースもある。こうした 場合では今後、特殊要因の解消の状況も確認していく。一方、成長戦略については、対象市場や個社の競争 力の違いなどで、収益寄与の明暗が分かれてきている。このため、育成が不調なケースに関しては、今後の 取り組み方針を確認していく必要がある。これらを含め、市場変化にあわせた事業ポートフォリオの変革を 継続していけるかが、当面の大きな注目点である。
財務状況は業界全体としては改善の方向性が維持されており、16/ 3 期もこれが継続すると考えられる。 近年のバルクケミカルの縮小、スペシャリティケミカルへのシフトに伴い、設備投資負担は軽減されてきて いる。大型 M&A など戦略投資の実行で、一時的に有利子負債が大きく増加するような局面も見られるが、 各社とも財務健全性とのバランスに配慮した投資が行われており、有利子負債が継続的に増加していく懸念 は小さい。もっとも、自己資本水準の違いなどで、各社の財務体力には較差もある。それぞれの状況に応じ た適正な財務運営が行われるかには、今後も注視していく必要がある。
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(図表 1)総合化学 7 社の連結業績・財務の推移 (単位:億円、倍、%)
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 有利子負債 自己資本 総資産 DER
自己資本 比率
旭化成 14/ 3 期 18, 978 1, 433 1, 429 1, 013 2, 996 9, 127 19, 151 0. 33 47. 7
(3407) 15/ 3 期 19, 864 1, 579 1, 665 1, 057 2, 664 10, 827 20, 145 0. 25 53. 7
16/ 3 期予 20, 000 1, 640 1, 665 1, 060 ─ ─ ─ ─ ─
昭和電工 13/ 12 期 8, 481 260 235 91 3, 537 3, 192 9, 858 1. 11 32. 4
(4004) 14/ 12 期 8, 766 209 221 35 3, 651 3, 182 10, 111 1. 15 31. 5
15/ 12 期予 9, 000 400 345 150 ─ ─ ─ ─ ─
住友化学 14/ 3 期 22, 438 1, 008 1, 111 370 10, 746 6, 433 27, 885 1. 67 23. 1
(4005) 15/ 3 期 23, 767 1, 273 1, 574 522 9, 802 7, 913 28, 804 1. 24 27. 5
16/ 3 期予 22, 500 1, 450 1, 600 800 ─ ─ ─ ─ ─
東ソー 14/ 3 期 7, 723 416 495 296 2, 862 2, 192 7, 217 1. 31 30. 4
(4042) 15/ 3 期 8, 097 514 602 623 2, 715 2, 890 7, 642 0. 94 37. 8
16/ 3 期予 8, 100 670 670 430 ─ ─ ─ ─ ─
三井化学 14/ 3 期 15, 660 249 225 - 251 5, 808 3, 528 14, 322 1. 65 24. 6
(4183) 15/ 3 期 15, 501 420 444 173 5, 474 4, 062 14, 118 1. 35 28. 8
16/ 3 期予 14, 100 520 470 250 ─ ─ ─ ─ ─
三菱ケミカル 14/ 3 期 34, 988 1, 105 1, 031 322 12, 582 9, 008 34, 794 1. 40 25. 9 (4188) 15/ 3 期 36, 563 1, 657 1, 631 609 16, 036 9, 810 43, 230 1. 63 22. 7
16/ 3 期予 40, 000 2, 270 2, 140 650 ─ ─ ─ ─ ─
宇部興産 14/ 3 期 6, 505 244 187 126 2, 444 2, 417 7, 007 1. 01 34. 5
(4208) 15/ 3 期 6, 418 241 232 146 2, 384 2, 633 7, 115 0. 91 37. 0
16/ 3 期予 6, 850 360 320 170 ─ ─ ─ ─ ─
7 社合計 14/ 3 期 114, 773 4, 715 4, 713 1, 966 40, 975 35, 898 120, 234 1. 14 29. 9
15/ 3 期 118, 975 5, 895 6, 370 3, 164 42, 726 41, 317 131, 166 1. 03 31. 5
16/ 3 期予 120, 550 7, 310 7, 210 3, 510 ─ ─ ─ ─ ─
※ 有利子負債は借入金、社債、C P の合計。昭和電工は劣後ローンの資本性考慮。
(図表 2)総合化学 7 社の営業利益推移
(図表 3)総合化学 7 社のネット DE R 推移
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【参考】 発行体:旭化成株式会社
長期発行体格付:A A 見通し:安定的
発行体:昭和電工株式会社
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:住友化学株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:東ソー株式会社
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:三井化学株式会社
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:株式会社三菱ケミカルホールディングス
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:宇部興産株式会社
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
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